積丹の蒸溜所
 
 
 
 
 
 

積丹町に建つジンの蒸溜所である。積丹半島の地域資源を活かした産業を生み出すため、施主は地域資源の発掘から事業化へと長期に渡り企画を進めてきた。私達はジンの製造が決まった時点で計画に参加。山裾の牧草地に面した計画地を訪れ、大地に力強く起立した優しい建築のイメージを共に抱いた。それは、積丹の繊細なボタニカルから生まれる 蒸溜酒を想起させ、厳しい気象条件に耐え、風景にも馴染むように思えた。同時に、生産性や事業性 の高い工場であることが求められた。製造工程を確認しながら細長い方形に編集し、長く大きなファサードを道産カラマツ材で仕上げている。水平な屋根は森や山の稜線との対比を、ランダムな 窓越しの光と風景は調和をイメージした。地域材による木造としたのは高気密高断熱を実現するためと、施主の地産地消へのこだわりによる。
「火の帆」 と名付けられたジンが2020年7月に初出荷された。火の酒といわれえる蒸留酒が積丹から世界中に出帆していくことを楽しみにしている。