中札内のフラットハウス

中札内村 在来木造 平屋建て
敷地面積 701.17㎡ 延床面積 98.48㎡ 建築面積 100.30
施工 株式会社大野建設 撮影 堀田貞雄

 30代の夫婦と2人のお子さんが暮らす29坪の平屋住宅である。十勝の自然に魅せられたご夫婦は、雄大な風景を楽しみながら子供達が自然の中で暮らせる住宅を希望され、札幌から中札内への移住を決められた。細長い平屋の住宅を一文字に配置することで、敷地を南北二つに切り分けるようにした。道路に接する北側は駐車場や薪置き場など機能的スペースとし、農地に面する南側は菜園や遊び場、日高山脈への眺望を確保するスペースとすることで、広い敷地に二つの顔をつくった。小さな家のプランには「メリハリ」と「開放感」が大切である。東西に延びる23mの廊下には南に面した大きな窓が並ぶ。この廊下にぶら下がるようにコンパクトな居間や寝室、納戸や書斎などの諸室を配置することで家の面積配分にメリハリをつけている。この廊下は家全体の広がりを感じられるようにする「しかけ」である。また、隣接する部屋同士が廊下で反射した音や気配を感じられるようにし、適度な家族の距離を確保する空間となっている。さらに、各部屋からは廊下越しに自然の風景が望め、各個室に開放感を生み出している。家族が家づくりにおいて明確なライフスタイルを導き出すことで、小さい家だからこその豊かな暮らし方ができると感じている。家族の個性が強く表れた住宅が出来上がった。