神社山の家

札幌市 在来木造 二階建て
敷地面積 403.42㎡ 建築面積 94.84㎡
施工 岩田住宅商事株式会社 撮影 酒井広司

札幌、標高237mの「神社山」の麓に建つ住宅である。市街地の中にありながらも自然の気配を感じることができる場所である。この場所の特性を生かした住宅を作りたいと考えた。そこで敷地にある7mの高低差を克服するために階段状の「ベース」を設定した。そこへ開放度の異なる9つの「カセット」を差し込み、生活空間と機能空間を作り出している。これらは間隔を空けて配置することで光を取り込む「スリット」を作り出している。最後に屋根をかけてカセットとスリットを統合するという構成である。スリットからは太陽の動きに合わせて様々な方位から自然光が取り込まれる。それらの光は袖壁に反射しながら室内に柔らかな光をもたらす。この光には雪や草木の色、その影といった情報が映り込み周囲の環境を連想させる。一方、カセットはその性格により室内への開放度を変えている。開放度の高いカセットは柔らかく包まれた日常生活での居場所となり、開放度の低いカセットは水廻りや収納といった生活を支える機能空間をつくっている。これらは視線や導線、レベル差やゾーニングをもとに配置され、緩やかな一体感を作り出している。スリットとカセットによるシンプルな構成により、変化にあふれた室内環境と周囲の環境を感じられる居場所の連なる小さな家となっている。