青葉町の曲り家 

札幌市 在来木造 平屋建て
敷地面積 352.50㎡ 延床面積 113.44㎡ 建築面積 123.99
施工 岩田住宅商事株式会社 撮影 酒井広司

家族3人が暮らす平屋の住宅である。1年以上、土地探しをしてやっと巡り会えたのは、約100 坪、古屋付の公園に面した南接道敷地であった。築40 年の古屋には立派な庭木と生け垣があり、近隣の庭とも一体感を作り出し、良いまちなみを形成しているように感じられた。一方、南接道の敷地では、長い玄関アプローチの除排雪に苦労されていることを近隣の方々から聞いた。既存の庭木を活かすことで昔から建っていたような落ち着いた雰囲気を作り出したいと考えた。また、公園や遊歩道に面した敷地環境を借景として家に取り込みたいと考えた。一方、長く安心して暮らせる家が求められた。そのため、住宅の基本性能の確保に加え、維持管理費の掛からないこと、除排雪の負担が少ないことが大切なテーマとした。住宅を既存の庭木や生け垣を活かすようにL 型に配置し、庭木と家による緩い囲み型の住宅配置とした。玄関を道路そばに配置し除雪範囲を最小限にし、中庭の奥にリビングを配置することで、開放的なリビングからは距離による安心感を確保しながら南に広がる公園の風景を取り込むことが可能となった。敷地の奥から道路に向かって緩い勾配屋根とすることで、LDKの天井は高く、玄関、車庫の天井は低くして空間的魅力と熱効率のバランスを計り、近隣の町並みとの調和を意識した。リビングは天井を高くし、単調になりがちな平屋の室内にメリハリを付けている。また、軒を出して縁側空間を設けることで道路からの距離感を確保するとともに、夏の日射をコントロールしている。